日本の夏の風物詩であるホオズキ(ほおずき/鬼灯)。赤い提灯のようにふっくらとした実をつけ、暑い季節に彩りと風情を添えてくれます。
今回は、夏の贈り物としてホオズキをプレゼントに贈ろうと考えている方向けに、ホオズキの花言葉やその由来、花や実の特徴、種類などの情報をご紹介します。
ホオズキ(ほおずき/鬼灯)の花言葉は「笑顔」です。
ホオズキはナス科の植物で、ちょっと見にはトウガラシやピーマンに似ています。ホオズキと言われて、多くの人がまず思い浮かべるふっくらとした部分は実は萼(ガク)で、果実を包んで発達し、美しい赤色になります。日本では古くから親しまれている、夏らしいお花です。
ホオズキ(ほおずき/鬼灯)の花言葉である「笑顔」ですが、これは恐らくホオズキの見た目に由来するものと考えられます。
ホオズキの丸くふくらんだ萼は、赤く染まったほっぺたのようにも見えます。ホオズキのように頬がぷっくりと盛り上がったとき、人はたいてい満面の笑顔になっているものです。
もともとホオズキは、お花屋さんや園芸店のほか、夏祭りや縁日でも売られているものでした。
よく熟したものを選んで萼の袋を破き、中の実を丁寧に揉みほぐすと、萼がクルクル回るようになります。
すると柔らかくなった実から、芯と種が一緒に外れるようになるので、破かないように皮だけをそっと抜いて膨らませると、笛のようにして遊ぶことができました。
最近では見かけることも少なくなりましたが、今ほど物が溢れていなかった時代には、ホオズキは子どもの遊び道具だったのです。
暑い夏の盛りに、笛と頬とを真っ赤に膨らませながらあちらこちらで笑顔が弾ける。そんな楽し気な情景が浮かんでくる花言葉です。
科・属 | ナス科ホオズキ属 |
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学名 | Physalis alkekengi var. franchetii |
和名 | 鬼灯、鬼燈、酸漿(ホオズキ) |
別名 | 酸漿(サンショウ)、輝血(カガチ)、赤輝血(アカカガチ)、奴加豆支(ヌカズキ) |
英名 | Chinese lantern |
原産地 | 東南アジア |
開花時期 | 6~7月頃(赤く色づくのは7月下旬~9月頃) |
出回り時期 | 6~8月頃 |
誕生花 | 7月27日 |
ホオズキ(ほおずき/鬼灯)の名前の由来にはいくつかの説がありますが、ここでは代表的なものを見てみましょう。
■説①
カメムシの別名が「ホホ」であり、カメムシがナス科のホオズキを特に好むことから「ホホ好き」となり、転じてホオズキになったという説。
■説②
赤く膨らんだ萼が真っ赤に染まった頬を連想させる。また子どもがホオズキ笛を吹いて頬を赤く膨らませて遊ぶ姿がまさにホオズキの萼そのもので、「頬突き」と呼ばれるようになり、それがホオズキの表記に変わっていったとする説。
■説③
ホオズキのもともとの語源は「ホホツキ」で、「ホホ(火々)=火」「ツキ=染まる」という意味。つまり「火で染められた実」を意味する名前だという説。
また和名の「鬼灯」「鬼燈」という表記は、赤くぼんやりと光るようにふくらむ少し怪しげな姿を「鬼の提灯」と称したことからきています。
別名の「カガチ(輝血)」とは、奈良時代頃に使われていたホオズキの古名です。その頃に編纂された古事記には、「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の目はアカカガチ(赤加賀智/赤輝血)のようだ」という記述があります。血走った目を爛々と輝かせるヤマタノオロチの目が、赤く熟したホオズキの実を連想させたのでしょう。ヌカズキ(奴加豆支)とはそれ以前の平安時代の呼び名です。
サンショウ(酸漿)とは漢名で、中国ではホオズキの根を「酸漿根(さんしょうこん)」と呼び、漢方薬として咳止めや解熱に用いていたことに由来します。「酸漿」とは酸味があり水分が多いことを意味します。
属名の「Physalis」はギリシャ語の「physa(水泡、気泡)」という意味で、ホオズキの膨らんだ萼を表現したものです。
日本では古来から薬や観賞用として親しまれていたホオズキ。夏になると各地で「ほおずき市」が開催され、今日でも多くの人が観賞用にホオズキを求めて訪れます。
もっとも有名なものは、東京・浅草(台東区)で行われる「ほおずき市」です。毎年7月9~10日頃に開催され、浅草寺にたくさんの露店が並んで賑わいを見せます。そのほか、東京の愛宕神社や福島県の会津、島根県の出雲などでも開催されています。
ほおずき市に関しては、こちらの記事も参考にしてください。
ホオズキ(ほおずき/鬼灯)はナス科の多年草で、おおよそ60~80cmほどの草丈になり、ナスのように下付きにぶら下がった実をつけます。
この実を包み込んだ赤い提灯を思わせる萼のイメージが強いですが、6~7月頃、初夏から夏にかけて小さなクリーム色の花を咲かせます。
花の時期になると茎が伸び始め、ナスやピーマンの花と同じような一重の星形の花が、葉の根元の茎の部分に下向きに開くのが特徴的です。
花が終わって受粉すると、直径1.5~2cmほどの球形の実が1つでき、さらに周囲の萼が発達して直径3cm以上に成長して実を包み込みます。
7月下旬になるとこれが色づき始め、8~9月にかけて実と萼がともに熟したきれいな赤色に変わって、私たちにもなじみ深い姿になります。実の中には多くの種が入っています。
ホオズキ(ほおずき/鬼灯)には観賞用の品種と食用の品種、2種類があります。
観賞用のホオズキは萼も実も赤くなるもの。大きな実をつける「丹波ホオズキ」は、その名のとおり京都・丹波市付近で古くから作られている早生種で人気があります。
また江戸時代に開発された「瓔珞(ヨウラク)ホオズキ」は、仏像の首飾りに似て三日月のようにカーブした実が目を引く園芸種です。
食用のホオズキは、実が赤くならずに黄色や緑色をしています。トマトを思わせる味の「オオブドウホオズキ」や、甘酸っぱい「ストロベリートマト」「ゴールデンベリーホオズキ」などの品種があります。
食用ホオズキは、特にフランスやイタリアなどヨーロッパで盛んに栽培され、美容と健康に良いフルーツとして知られています。
観賞用のホオズキは、全体に微量のアルカロイドやソラニン、根の部分にヒストニン(子宮の緊縮作用を持つ)を含んでおり、古くは鎮静剤や堕胎剤として使用されていた経緯もありますので、食用に用いるのは避けましょう。特に妊娠中の女性は両者を間違えないように注意してください。
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ここまで、ホオズキ(ほおずき/鬼灯)をプレゼントとして贈ろうと考えている方向けに、ホオズキの花言葉やその由来、花や実の特徴、種類といった基礎知識をご紹介してきました。
ホオズキが市場に出回り、ほおずき市が立つ頃になると夏の訪れや深まりを感じさせられます。日本人の夏の記憶と情緒に深く刻まれたホオズキをより深く知ることで、いっそうその魅力を味わえることと思います。今回の記事を参考に、ぜひ喜ばれる夏の贈り物を選んでください。